久しぶりに雑誌記事が炎上した

昨日、東洋経済オンラインに出した記事「「既に激安」ガソリン税引き下げ阻む不都合な真実」がYahoo!に転載された(Yahoo!はこちら)。注目度が高いテーマだったようで、午前中の数時間で掲示板のコメント数が2000以上に達し、コメント数ランキングのトップになった。

コメントを3つだけ読んだが、いずれも記事の内容を批判していた。私のホームページの問い合わせフォームにも、「何を馬鹿なこと言ってるんだ!」「お前は財務省の犬か?どアホ!」といった匿名メッセージが4つ届いた。久々の炎上である(世間的にはプチ炎上のレベルだが)。

午後、記事が炎上したと知った友人が連絡をくれて、「大丈夫か? 気を落とすなよ」と気遣ってくれた。ありがたいことだが、「長く仕事をしていると、たまにはこんなこともある」という受け止めで、心配には及ばない。

それより、三連休のど真ん中にYahoo!掲示板に張り付いて、この程度の記事に感情をぶつけたり、わざわざ私を探し出して匿名で攻撃してくる人が多いという事実に驚く。日本には、暇を持て余している人や病んでいる人が多いようで、心配だ。また、中国が沖縄に攻めてきたらこんな話題に構っていられないわけで、つくづく日本は平和な国だと思う。

ところで、こういう雑誌記事やビジネス書を書くライターの仕事をしていると、読者から評価される。また、長く研修やセミナーの講師をしており、受講者から「受講者アンケート」という形で評価される。ライターや講師の仕事は、評価と切っても切り離せない。

もちろん、一般の会社員も上司や人事部から人事評価をされる。ただ、評価フィードバックの時間や次の仕事への影響度合いがまったく違う。ライターや講師は、評価フィードバックが瞬時に行われて、評価が悪いと即座にクビになる。リターンマッチもない。やはり、一般の会社員よりもかなりシビアな世界だ。

ライターや講師は、評価とどう向き合うべきだろうか。一般の会社員を含めて世間で言われる“正解”は、「PDCAが仕事の基本。他者の評価(Check)をしっかり受け止めて、改善(Act)に役立てよう」というものだ。

私もその昔は、この教えの通り、読者や受講者の評価コメントをしっかり読み込んでいた。しかし近年はかなり手を抜いている。研修の受講者からのコメントにざっと目を通して求められたら対応する程度だ。今回のような雑誌記事の読者コメント欄は、ほぼ無視する。

読者コメント欄を無視するのは、コメント数が膨大だし、読んでもほとんど参考にならないからだ。記事のタイトルだけ見て中身を読んでいない読者、一方的に自分の主張を展開する読者、何を言っているか意味不明な読者があまりにも多く、読むのは時間の無駄だ。

ただし、読者や受講者からメールなどで直接コメントをいただいたら、ちゃんと読んで丁寧に返事をし、今後の改善に役立てている(今回のような「馬鹿」「どアホ」という単なる罵声は無視する)。ライターや講師と直接ディスカッションをしたいという人は、やはり勉強熱心だし、独自の視点を持っているので、とても参考になる。

あと個人的にもっとも嬉しいのは、久しぶりに会った人との雑談で「この前の日沖さんがカスハラ認定されたという話は面白かったですよ」とか言われることだ。22年間欠かさず本欄を書いているのは、ひとえに「面白かった」という読者の言葉があるからだ。

とあれこれ振り返ると、やはり私も評価を大いに気にしているようだ。

 

(2025年2月24日、日沖健)