先週木曜日の朝7時過ぎ、出張先の高知でチンチン電車(とさでん)に乗っていたところ、20歳前後の若者5人組(男3・女2)がぞろぞろと乗車し、私の近くにやって来た。茶髪で鼻ピといういかにも今風の人たち。ワイワイとテンションが高く、楽しそう。どうやら夜通しで飲んでいたらしい。
「しょうもない奴らだなぁ」と思っていたところ、そのうちの一人が私に話しかけてきた。
女「オジサン、今からどこ行くの?」
私「高知大学だよ」
女「へえ、大学の先生?」
私「いや、大学には用事で行くだけで、自由業だよ」
男「自由業? ならいっぱい時間あるっしょ。今から僕ん家でみんなで一緒に飲みませんか?」
女「飲もう、飲もう、イェーイ!」
今時の若者の飲み会を覗いてみたかったが、用事があったのでさすがに断った。
それから5分ほど、彼らと他愛もない世間話をした。酔っている割にちゃんとした受け答えだったし、話す内容もなかなかしっかりしていた。
5人が私よりも先に降車した。別れ際に全員が明るい笑顔で私に手を振ってくれた。一人が運転手に「うるさくしてすいませんでした」と謝っていた。
という他愛もない体験だったのだが、2つのことを考えさせられた。
一つは、(ありきたりだが)人は見かけによらないということだ。
よほど人を見る目があっても、人間の良し悪しはじっくりお付き合いしてみないとわからない。お付き合いどころか、まだちゃんと話してもいないうちから見かけだけで「しょうもない奴らだなぁ」と決めつけた自分の浅はかさを恥じる。
もう一つは、感謝の気持ちを口にした方が良いということだ。
早朝から若者の明るい笑顔を見て、ありがたいお誘いを受けて、その日はずっと気分が良かった。晩酌の一人乾杯で、思わず「ありがとう」と口にした。そして、長らく「ありがとう」と口にしていないことに気づいた。
会社勤めをしていた頃は、上司の指導や周りメンバーのサポートを受けて仕事をしていたので、何かあったら条件反射的に「ありがとうございます!」と言っていた。ところが、独立して自分でビジネスをするようになってからは、「浮くも沈むも自分次第」ということで、あまり感謝の言葉を口にしなくなっていた。
しかし、仕事上の指導・サポートといった大きなことだけでなく、ちょっとした気遣いをしてもらったり、今回のように良い気分にさせてくれただけでも、非常にありがたいことだ。感謝の気持ちを持ったら、迷わず口にして相手に伝えた方が良い。
今回、若者たちには直接「ありがとう」と言えなかったが、これからは、少しでも良いことをしてもらったり、良い気分にさせてもらったら、即座に「ありがとう」と言うことにしたい。
まずは、いつも駄文を読んでいただき、ありがとうございます!
(2024年4月29日、日沖健)