総務省は5月4日、外国人を含む日本の15歳未満の子どもの人口推計(4月1日現在)を発表した。総数は前年より25万人減の1,465万人となり、41年連続で減少した。総人口に占める割合も11・7%で48年連続の低下。いずれも、過去最低を更新した。
すでに1980年代から国は様々な少子化対策を進めてきた。にもかかわらず少子化が止まらないのは、少子化の原因が今なお十分に解明されていないか、原因がわかっていても対応が困難か、いずれかということになる。
少子化の原因には、所得の上昇、医療の発達、女性の社会進出のように、少子化を促すものの、それ自体も社会にとっても良いことが多い。少子化は、日本社会が発展した証と言える。これらの原因には対応しない方が良いわけで、少子化対策のターゲットではない。
一方、女性への家事・育児の偏り、保育所の未整備、長時間労働など、少子化の原因となるだけでなく、社会的にも好ましくない原因がある。これが、少子化対策のターゲットである。もし後者への対策が十分に進んでもなおかつ少子化が止まらないなら、少子化は「もはや処置なし」で、イーロン・マスクも指摘する通り日本は消滅する。
では、どうすれば少子化を食い止めることができるのか。日本では、生まれてくる子供のうち非摘出子は2%に過ぎず、近年の非婚化(2020年の生涯未婚率は、男性25.7%、女性16.4%)が少子化に拍車を掛けている。日本では、少子化≒非婚化であり。非婚化への対策が喫緊の課題だ。
では、なぜ非婚化が進むのだろうか。色々な原因が指摘されているが、意外と指摘されていない要因が「パートナーに求める知能水準のずれ」だ。
多くの男性は、「自分よりアホな女性と結婚したい」と考える。「馬鹿な女ほど可愛い」と公言する男性もいる。家庭の中でパートナーに対して優位に立ちたい、平たく言うと威張っていたいということだ。幼稚な発想だ。
逆に多くの女性は、「自分よりアホな男性とは結婚したくない」と考える。女性の7割が「夫に養ってほしい」と考えているという調査結果があるとおり、アホな男性ではちゃんと自分を養ってくれないからだ。甘えた発想だ。
とすれば、賢い男性とアホな女性は結婚できるが、アホな男性と賢い女性は結婚できない。それでも以前は女性の就業機会が制約されていたので、賢い女性も生きるために我慢してアホな男性とも結婚した。ところが近年、女性が経済的に自立すると、アホな男性と敢えて結婚する必要がなくなった。これが、私が考える非婚化が進んだ原因である。
ここで不思議であり、残念なのは、「夫が一家の大黒柱として働き、妻が家庭を支える」という伝統的な価値観が、以前とさほど変わっていないことだ。とくに、男性を頼る必要がない高収入の女性でも、「アホな男性はお断り」と明言し結婚しないケースが多いのは、謎である。こうした社会的な価値観をどう変えるのが、少子化対策として極めて重要だと思う。
では、将来はどうだろうか。私の長女(23歳)を見ていると、彼氏との関係はまったくフラットなようだ。フラットな男女関係のZ世代が婚期になったら、もはや相手の知能水準を気にしなくなるかもしれない。そうなると、少子化問題に良い兆しが見えてきそうだ。
ただし、長年の少子化ですでに子供を産む母親の数が減る「少母化」が進んでしまっている。未婚化の流れが止まっても、子供の数が増えることは考えにくい。
(2022年5月16日、日沖健)