2月26日に公表された平成27年国勢調査で、日本の総人口は調査開始以降初めて減少した。少子高齢化により人口が本格的減少局面に入っており、さらに減少を続けることが予想されている。2100年の日本の総人口は、国連推計によると8317万人、内閣府の推計によると6400万人に激減するという。
しかし、私の予測では、2060年以降、総人口は増加に転じ、2100年には3億人に達しそうだ。根拠を紹介しよう。
現在政府は、少子化対策として、出産・育児の環境整備を進めているが、早晩限界が露呈し、外国人を受け入れ、外国人との婚姻を促すようになる。ただ、経済成長率が低下し、出稼ぎ先としての魅力を失った日本には思うように外国人が集まらず、少子化対策としては効果がない。
いよいよ困り果てた政府は、女性の代わりにロボットに出産させる出産ロボットの開発に着手する。現在でも、産婦人科医の練習用に出産ロボットが使用されているが、出産だけでなく、妊娠から出産まですべてのプロセスをこなせるロボットである。2040年までに完全出産ロボットが実用化される。
完全出産ロボットの使用については社会的・宗教的な大論争が巻き起こるが、少子化に悩む大半の国で、2050年頃まで使用が容認されるようになる。日本でも出産ロボットが普及して、ようやく少子化に歯止めがかかり、2060年頃から総人口は増加に転じる。
その頃になると、AIによってロボットは飛躍的に進化し、人間と同じような感情を持ち、ロボット自身が自律的に成長・進化するようになる。人間とまったく同じで、しかも子供を産むとなると、「出産ロボットを人間として認めるべきではないか?」という次の議論が起こる。
「えっ、ロボットが人間に?」と最初は一笑に付されていたが、人間から生まれた子供と出産ロボットから生まれた子供の差別が社会問題になると、議論が盛り上がりを見せた。徐々に出産ロボットに人間としての権利を認めようという議論に傾いていく。ついに2080年に出産ロボットは人間と認められ、人権が与えられ、戸籍を持つようになる。
その頃になると、日本の職場や社会で色々なロボットが活躍している。現在のロボットは、物理的な単純作業を担っているが、設計・開発・営業といった複雑な作業、創造的な作業、そして管理や営業もロボットが担う。職場では、1人の自然人間と5人のロボットが働くようになる。大小合わせて数億台のロボットが活躍している。
すると次に、出産ロボット以外のロボットも人間と認めるべきではないか、という議論になる。ここでも大激論になるが、見た目も人間と変わらず、感情を持ち、働いて納税しているとなると、人間と認めない理由がなくなる。
こうして2100年、一定の条件を満たすロボットは人間と認められることになった。ロボット大国の日本では、世界最多の2億“人”のロボット人間が新たに日本人として戸籍登録された。日本は人口3億人の世界有数の人口大国となった。
時は2116年。ある職場での会話
山田「今から百年前、2100年頃に日本の人口は8000万人くらいに減って、人手不足で経済が立ち行かなくなるって言われてたみたいだよ」
鈴木「へえ、そうなんだ。でも、それって昔からいる自然人間の話しでしょ」
山田「その通り。でも、使えない自然人間が減って何が困るんだろうね」
鈴木「そうだよな。去年久しぶりに入社した自然人間の岩崎君も、仕事ができなくて、1か月足らずで辞めたしね」
山田「自然人間が働く職場っていったいどんなだろう。ずいぶん効率悪そうだよな」
鈴木「まったくだ。仕事はわれわれロボット人間に任せて、自然人間は温泉に浸かって花見でもしてりゃいいんだよ」
1か月遅れのエイプリル・フールということで・・・・
(日沖健、2016年5月2日)